トップ > マチスの秘策 > メタゲーム論


■メタゲーム論■


●前書き

 ポケモンカードのサイトでも、大会前になるとよく使われている言葉である「メタゲーム」、または「メタ」。だが、その意味をしっかりと理解している人は意外と少ないと思う。そして、実際に「メタゲーム」を行っている人はさらに少ない。しかし、大会で上位入賞する大抵のプレーヤーは、実際にメタゲームを行っているのである・・・。
 という訳で、過去に掲示板でも質問があった「メタゲーム」について書いていきます。今回は、戦略というよりは、こういうものもあるんだよというお話ですが・・・。
 

●What's メタゲーム?

 メタゲームという言葉は、MTG(Magic The Gathering)から生まれた言葉である。「meta(メタ)」には"網羅する"と言う意味があるため、メタゲームとはまさしく、情報収集をして現在の流行のカードやデッキを読み取り、かつ、大会で多数のプレーヤーの使用するデッキを予想して、それらのデッキに勝てるデッキを作る事で大会を有利に戦っていくという考えである。さしずめ、情報戦での勝負である。
 

●相性によるアドバンテージ

 この世の中に万能なデッキなんて存在しない。デッキには必ず有利、不利といった相性が存在する。以前、ハーフデッキ構築論でも書いたように、速攻系→高出力系→持久系→速攻系・・・ という相性もあれば、色における有利不利の相性もある。特にポケカの場合、色的な有利さは対戦において絶対的なアドバンテージとなりえる。
 だからこそ、相性の良いデッキで対戦すれば、勝つ可能性は高くなるのは当然の事である。それが、例え地区大会やチャンピオンズリーグを制覇したデッキに対しても同様で、そのデッキに勝つことだけを主目的としたデッキには簡単に負けてしまうはずである。
 

●具体例

 では、実際に大会でのメタを見てみる事にする。
 00'SSB(シークレットスーパーバトル)では、ワニカメが大暴走し、01'春ではバクカルが流行っていた。02'夏シニア,ジュニア両リーグでは、ハッサム(e3)が猛威を振るい、上位入賞者の殆どがハッサムか、アンチハッサムデッキのデンキュウのどちらかであった。全国大会でも、殆どの選手がこの2つのどちらかを使用していた。
 使いやすく、それでいて強いデッキというものは、当然使用者が多くなるものである。
 

●情報収集

 メタゲームを行うには、必ず情報が必要になってくる。有力な情報をいかにして集めるかが問題となる。
 一番良い方法は、ジムオフィシャルなり店舗大会に行って、直に見る事である。特にジムオフィシャルは、参加者が大勢いるし、それなりに使用デッキの傾向がわかるかと思う。店舗大会も捨てた物ではないが、都市部でなく地方の店舗大会の場合、独自性の強いデッキが多いという傾向がある。これはこれでいい事ではあるが、メタゲームを考えるとあまり有効な情報とは言えない(管理人も静岡という土地に住んでいる事をどれほど悔やんでいる事かw)

 では、こういうように情報が手に入らない場合、どうすればよいか。一番単純なのは、参加した人に直接聞くことである。メールなり、掲示板なり、チャットなり情報伝達手段は現代の日本においてはいくらでもある。また、参加者のイベントレポートとしてホームページ等に載る事もある。これも有効な情報の一つである。
 後、当たり前だとは思うが、大会による情報の重要度の違いもある。数週間前に行われた夏道地方大会の結果と、数日前に行われた地方の店舗大会の結果とでは、情報としての影響力が違うのは火を見るより明らかだろう。
 このような方法で得た情報を元にして、大会で多数のプレーヤーが使用するデッキを予想する。
 

●情報解析

 さて、上記のような方法で得た情報を元にデッキを予想するわけだが、当然ながら、その情報をそのまま鵜呑みにしてはいけない。
 プレイングが小難しいものや長期戦となるようなデッキも考慮に入れるべきである。ゲンガー系のように、何手先も考えなければならずプレイングが難しいデッキは自然と使用者が少なくなる。また、ホエルオーexのように長期戦となってしまうデッキも大会(特にトーナメント)では不向きである。毎試合、気が抜けずに制限時間一杯まで神経すり減らして戦わなければならないデッキも自然と使用者が少なくなる。

 また、地域性によるメタや大会が行われるのが遅くなることによるメタの変動にも注意して欲しい。
 例を挙げるとすると、03'夏 北海道、中部大会では、バシャレックを使用している人は皆無であり、入賞すらしていなかった。ところが、関西大会でバシャレックが優勝して以来、殆どの大会でバシャレックが入賞し、使用率も一気に高くなった。これは、関西地域でバシャレックに人気があり、この地域ではメタの中心であった。そして、実際に優勝すると、他地域でバシャレックが使用され始め、一気にメタの中心になってしまった、という事であろう。

 さらに、メタゲームの推測をどの時点まで行うかも問題である。
 これも例を挙げてみよう。03'夏で、サーナイトが多い事を推測して、ヌケニンゲンガーを使用するプレーヤーもいれば、ゲンガーが多いだろうと推測してデンリュウexを使用する人もいた。さらに、デンリュウexが流行ると読んで、バシャレックを使用する人もいれば、バシャレックに対抗してウツボ入りサーナイトを使用する人もいる。このように、どこを基準にすればいいのか判断が非常に難しい。
 また、メタゲームが堂々巡りになる事もしばしば起こる。
 今の例のように、サーナイト→ゲンガー→デンリュウ→バシャレック→ウツボ+サーナイト、というように出発点となったデッキにほぼ一致してしまった・・・という事もありうるのである。

 そして、このデッキが多数使用されるという予想だけでなく、このデッキは使われないといった予想も大事である。多数使用されると予想されるデッキに対して、相性が不利だったり勝率が低かったりするデッキを使用する人は自然と減るものである。例えば、03'夏では、当初、レックウザ(闘抵抗)とサーナイトなどの超系が流行ると予測され、闘系は少ないという予想がされていた。それにより、特に予選で闘弱点のデンリュウexが流行った。始め、ADV3の発売当初のデンリュウexの評価はかなり低かった。が、闘系がメタ外に追いやられた事から、デンリュウはあっという間に人気が上がりメタの中心までになった。このタイプのデッキの使用者が少ないといった予想も大事なのである。
 

●メタデッキへの対策

 こうして、メタゲームの対象デッキが決まったら、そのデッキに勝ちうるようなデッキを構築する事になる。

 最も単純な考えとして、そのデッキの弱点色で戦うという方法が挙げられる。ポケモンカードにおいて、色的な有利さは絶対的アドバンテージである為、単純かつ有効な手段である。その場合は、メインポケモンの弱点色だけでなく、サブポケモンの弱点色も突かなくてはならない。
 例を挙げるとすると、02'夏で、ハッサムが猛威を振るっていたのは上にも書いた通りだが、大抵のハッサムデッキがサブポケモンとして炎ポケモンに対抗する為に水タイプのポケモンを入れていた。その為、アンチデッキは炎+雷デッキであったデンキュウが勢力を誇っていた。
 ただし、これが適用されるのはメタゲームの対象デッキが1つ、多くて2つの場合にしか言えない。複数の色のデッキが存在すると、全ての色相性を突くことは現実的にほぼ不可能である(ここでほぼ不可能と書いたのは、カクレオン(ADV2)使って6色弱点突くという方法もある為。けど、この方法はあまり現実的とは言えないが・・・)。よって、優勢色や劣勢色は存在することになるが、色によって全ての対象デッキに完全対策出来るデッキは存在しない。
 これも例を挙げてみる。03'夏で特に流行ったデッキは、サーナイト、デンリュウ、ゲンガー、レックウザの4種。優勢色(炎、雷、超)や劣勢色(水、闘、鋼)は存在したが、これら全てに色的相性で勝てるようなデッキは現れなかった。

 また、特定のデッキにのみ効果があるカードを入れるのも一つの手である。特定のデッキがある程度いるのなら効果的な方法であるが、他のデッキと対戦する時に無駄カードとなる事を忘れてはならない。
 例えば、「水晶のかけら」。これをデッキに入れれば対無色ドラゴン系のポケモンに対して、勝率は格段に良くなるだろう。だが、他のデッキに対しては全くの無駄カードになってしまうリスクを負う事となってしまうのを意識しなければならない(実際、03'夏ではレックウザが流行ると読んで、「水晶のかけら」を入れていた人はかなりいる)
 他の方法として、「ソーナンス(ADV2)」や「マイナン(ADV3)」や「メタモン(e4)」といったポケモンを入れて、特定のデッキに強くするといった手もある。この場合、特定のデッキやカードに対して高い効果を発揮するだけでなく、そうでない場合もポケモンとして使えるので、基本的に無駄にはなりえません。
 

●完璧なんて存在しない

 こうして、メタゲームを行って決定したデッキには、雷抵抗に勝てなかったり、PPLに弱いとか、ある種のカードに対して致命的な弱点があると思う。が、このメタゲームにおいて基づいて作ったデッキは、微塵の隙もない完璧なデッキではない。メタゲームによって、出てこないと推測したデッキには勝てる要素が無くてもいいのである。大会において、そのデッキは存在しないのだから。
 仮に、そのデッキの弱点と言えるデッキと当たった場合、その相手がメタゲームを全く考えていなかったか、あるいは、相手がさらにその上のメタゲームを行った結果としてのデッキのどちらかである。前者の場合になら、まだ勝てる見込みはあるかもしれない。しかし、後者の場合は、相手がさらにその上のメタゲームをした訳であって、あなたは相手とのメタゲームに負けたと言うことになる。

 他人が他人のデッキを予想するのは当然のことだと思う。だからこそ、メタゲームを行う事がとても重要であると言える。相手の予想を覆し、かつ、自分が相手のデッキに対しての対策が十分行われているといった状態が出来れば、十分相手とのメタゲームに勝ったと言える。これが、メタゲームによる理想系ではないだろうか。
 


今回は、文の段落構成やフォントを多少変えてみました。見やすくしたつもりですが、どうでしょう。
それと、書いてて思ったけど、支離滅裂な文章になっているのは気のせいなのだろうか(ぇ


マチスの秘策に戻る

inserted by FC2 system